こんにちは、葬儀アドバイザー田口です。
現在、埼玉県吉川市で葬儀社を経営しています。
葬儀社を経営する前は、貸葬儀式場を運営していました。
なので、その経験を踏まえて、葬儀について知っておいた方がよいことを書いていきます。


もくじ
☑ 葬儀社になる前の経緯

☑ 貸葬儀式場を運営し、経験したこと

☑ 大手葬儀社(互助会含む)へのクレーム

☑ 葬儀社への転換

☑ 葬儀社としての運営目的と方針


葬儀社になる前の経緯

わたしは、大学卒業後、数年の間、会社勤めをしていました。
その後、家業である飲食店で働き始めます。
この飲食店は、バブルの頃(わたしが学生の時)、建てました。
4階建てで、1階から3階までが飲食店、4階が住まいでした。

建ててから数年は、いつも行列ができていました。
しかし、今振り返ると、建物の完成時がちょうど、バブルが崩壊したときでした。
その頃、外食産業の出店ラッシュが重なりました。
すると、数年間で売り上げがあっと言う間に下がってきました。

「どうしよう」
家族会議が始まりました。半年くらい悩み続けました。
そして、貸葬儀式場へ事業を転換することを決めました。
こう書くと簡単そうですが、当時は一大決心でした。
でも、この決断が吉と出たのです。


貸葬儀式場を運営し、経験したこと

貸葬儀式場の運営は、葬儀社に式場を貸し出し、お葬式の通夜・告別式の料理を注文してもらうというビジネスモデルでした。

当時は、一般葬(家族、親戚、友人、隣近所、会社関係など、付き合いのある方、全てに連絡をするお葬式)が大半を占めていました。
そのため、お葬式1件当たり、式場使用料 + 料理 + 飲み物 の売り上げが月10件くらいでしたので、家族経営としては、十分に回していくことができました。


大手葬儀社へのクレーム

貸式場は、首都圏の大手葬儀社(互助会を含む)から一人社長の小さな葬儀社まで、多くの葬儀社に利用していただきました。
貸式場の運営を始めた当初は、無我夢中でまわりがよく見えていませんでした。

しかし、だんだんと慣れてくると、料理を提供する時や宿泊されるお客さんへの注意事項の説明をするときなど、次第に雑談をする余裕がでてきました。
その雑談の中で、特に多かったのが大手葬儀社(互助会含む)への高額な料金へのクレームでした。

互助会とは、結婚式やお葬式に備えて、月々3,000円または5,000円などの金額を積み立てます。
いざという時に、負担を軽減するためのものです。
しかし、それは建前でしかなかったのです。

例えば、1口3,000円の積み立てを2口入っていたとします。
しかし、1回で使えるのは1口だけです。
「残りは、次回使って下さい。」というわけです。
使ったら使ったで後日、互助会の勧誘員が家に押しかけ、「もう1口、入りませんか?」と押し売りをしてきます。
お葬式は、その家から1度出したら次はいつになるか分かりませんよね?
互助会は、このような手口で縁を切らさないようにしています。

他にも、
・そもそも、互助会の葬儀費用は高すぎて、積み立て分の割引があったとしても、まったくメリットを感じない。
・祭壇、棺、骨つぼなどの選択肢は、高額な物しかない。
・打ち合わせをする人、お葬式を担当する人、集金をする人、全部バラバラで誰に文句を言っていいのかわからない。

などと、いろいろな不満をお客さんから直接、聞いてきました。


葬儀社への転換

貸式場に転換してから9年後、越谷市、吉川市、松伏町、合同の市営斎場が建設されました。
市営斎場とは、その市で運営される火葬場併設の葬儀式場です。
市で運営されているという安心感と目新しさもあり、多くの方が市営斎場での葬儀を希望しました。

なので、わたしたちの貸式場は、また、ピンチを迎えます。
そして、考えた末、2008年に葬儀社に転換することを決意しました。
東京のNPOの葬儀社に事情を話し、半年ほど東京まで通い、葬儀を学ばせていたたきました。
葬儀を学ぶ上で、貸式場の時の経験があったため、スムーズに覚えることができました。

そして、家業を葬儀社に切り替え、再出発しました。
しばらくは順調でしたが、時がたつにつれ、お葬式は家族葬が増え、お葬式の規模の縮小、簡素化が進みました。
それに引き換え、貸式場はバブル期に建てたため、老朽化し、固定費や経費が経営を圧迫しました。
現状を維持していくことが難しくなってきたのです。

経営の今後の方向性をリニューアルして高級路線をとるか?
一旦、リセットして建物を縮小し、経費を抑え、低価格路線をとるか?
わたしは、貸式場を運営していた時、お客さんが高額な葬儀費用に苦しんでいる様をたくさん見てきたので、後者を選択しました。

2018年に4階建ての葬儀式場を売却しました。
葬儀式場の売却を決めたとき、父と母が目に涙を浮かべていた光景を、わたしは生涯忘れない。
30年近くの思い出の詰まった住まい兼仕事場を手放すのだから。


葬儀社としての運営目的と指針

そして、現在の場所に移転しました。
会社としての方針は、「多額のお金は出せないけど、あまりにも簡素にはしたくない」という方向けの葬儀社にしました。

わたし自身は、お葬式はシンプルでいいと思っています。
後は、人によって希望するオプションを足していけばいい。
大手葬儀社のように不必要なものをたくさん売りつけてまで単価をあげようとは思いません。
これから、葬儀に関するさまざまな情報を発信していきますので、よろしくお願いします。